第49章 おつかいでのヒトコマ
同居人が熱に倒れて異次元の住民である男は1人自転車を漕いでいた
無料で誰かの為に駆り出される等男にとっては前代未聞であり
誰かしらの為の行動は今まで全て有料であった
此方で外出する事に全く抵抗は無くなったが実のところ独りで買い物へ出向くのは初めてだった
近所のスーパーは時間帯からか客も少なく小ぢんまりした店内はスムーズに歩く事が出来る
颯爽と男が歩けば振り返る女性は少なく無く老若男女の視線が注がれるが気に止める素振りも無くメモ通りにカゴヘ商品を埋め込んで行く
そんな男が唯一自身の意思で立ち止まったのはお菓子コーナーだった
元の世界でスナック菓子を口にする事は少なかったが此方へやって来てからちょっとしたマイブームになっている
色とりどりのパッケージや新商品のロゴに心奪われるが可愛らしい如何にも女性の字で書かれた買い物リストにスナック菓子の文字は無く落胆する