第48章 我が儘1つ
軽快なギャグや下ネタ、パロディー等で有名な漫画をチョイスしたのは彼とは実にミスマッチで面白そうだったからだ
一巻を手に取って私の隣に腰を下ろしページを捲り台詞を音読し始めた
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「知るかボケェェェェ金がねぇなら腎臓なり金玉なり売って金つくらんかいクソったりゃー」
至って真面目に何の疑問も持たずに抑揚無く普段とはかけ離れた台詞を読み上げて行く姿はシュールで
この漫画の持ち味である鋭いツッコミも全て無感情に読み上げられる
そんなカオスを作り出しておいて非常に申し訳ないが私の瞼は重く抗っても下がって来てしまう様になっていた
「………すみませんイルミさん……私眠くなってきました」
「そう。辞める?」
彼は軽く漫画を閉じてくりっと首を傾げる
私はこくこくと頷いた後に最後にもう1つ我が儘を試して見ることにした
「……イルミさん……心細いから添い寝してもらえませんか……?」
流石にこれは無理があっただろうか彼は私にじっと視線を落とした後にひとつ溜息を漏らして肘を付いて頭を支える形でその場に横に成った
添う様にぴったりと長身を横たわらせた彼だが決して布団へは入らない辺りに彼の紳士的な部分を垣間見る