第48章 我が儘1つ
気にする様子も無くページを捲り続けた彼だったが
不意にタオルを取り替えてくれたりと私の世話を焼いてくれる
私はその度に申し訳なくなり謝りっぱなしだったが彼は淡々と"どういたしまして"とチンプンカンプンに返してくれた
昨日は本当に身体が怠くて色々考える暇は無かったが彼が心配してくれている様子から僅かに好奇心が沸き上がる
(何処までの我が儘やったら聞いてくれるんやろう………)
私は手始めに空腹を訴えてみた
即座にキッチンへ向かうと此方を向く事無く私へ問い掛ける
「何なら食べられそう?」
「ゼリー……」
「……はい」
彼はゼリーとスポーツ飲料を私に手渡してくれる
其れをゆっくりと平らげた私は次いで彼に我が儘を言ってみる
「イルミさん暇です……何か本を読み聞かせて欲しいなぁ~なんて……」
「………」
(これは流石に無理か………)
彼は私をチラリと見遣るとすくりと立ち上がり
部屋の中でかなり幅を取っている本棚の前で立ち止まった
「……何読む?」
「じゃあ銀○お願いします」
「わかった」