第46章 焼き肉屋のヒトコマ
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「まだかなぁお肉!!」
「さぁ」
アルコールに次いで運ばれて来たのは副菜に注文したイカフェと豆もやし
彼は暫く凝視した後に箸を付けてパクパクと食べ始める
イカフェがお口に合った様だ
私も酒のつまみにと箸を進める
随分前から気になっていたのだが、彼の利き手は右手である筈なのだが時折左手に箸を持ち利き手と変わらぬ仕草で器用に食事をする事がある
今日も彼は利き手では無い左手に箸を持ち平然と食事をしている
「イルミさん」
「何」
「何でお箸両手で使うんですか…?」
「……感覚が鈍らない様に。武器を扱うには両手が必要だから」
「成る程……イルミさんはやっぱり努力家ですね」
「別に普通」
返答に原作を思い返せば彼は確かに両手の指に針を挟み戦っていた様に思う
あれだけビュンビュン針を飛ばすのだ
一見地味に見えるが彼の常日頃からのちょっとした工夫は理に叶っているのかもしれない
そしてそんな絶え間ぬ努力が彼の戦闘を支えているのだと身近な所作故に改めて痛感した