第46章 焼き肉屋のヒトコマ
5月のある日の夜
彼と私は焼き肉屋さんに来ている
様々な種類を一辺に味わえるワンプレートを頼み
先に届いたアルコールで乾杯する
遡れば昨日の深夜、バラエティー番組で美味しそうな焼き肉が画面一杯に映し出された事に始まる
「イルミさんお肉好きですか」
「うん」
「お肉食べたいですね」
「そうだね」
目の前で芸能人達が美味しそうに肉を頬張る姿を眺めてお腹が鳴る
「今すぐ食べたいー!」
「太るよ」
「食べませんけどねっ!」
隣でバリバリと音を立ててポテトチップスうすしお味を食す彼に言い放たれて瞬時に返す
「こんな時間にお菓子食べたら太りますよ」
「沙夜子とは運動量が違うから平気」
「………っ」
悔しいが言い返す言葉も無く押し黙った私は沸々と沸き上がる怒りの矛先を何故か自身の空腹へと向けた
「あ"ーお腹減った………!」
「………」
「明日絶対焼き肉食べたるねん!!!」
私の謎の宣言に彼は、おー、と感心したかの様な声を上げていた
何処にどの様に感心したかは不明である