第45章 夢幻
じわりとぶり返す耳の甘い傷跡をなぞる様に舌で舐め上げられて自身のものとは思えない甘い声が溢れ出した
「沙夜子は俺と……するの嫌?」
「んっ………!!」
答え様と開いた唇に彼の舌が触れて形の良い唇が自身の唇と重なる
肯定とも取れる私の返答は言葉にならないまま攻め立てる様に舌と舌が絡まり求められる様に何度も角度を変えて執拗にキスをされ酸素を求めて力無く彼の胸を叩く
漸く開放された唇にどちらのものとも取れる糸が伸びて荒い息は火照った身体に酸素を送り込もうと必死だ
「はぁっ……イルミさん………っ何でこんな事………!」
大きく張った声に意識が徐々に浮上する不思議な感覚に違和感を感じる
(……あれ…………?)