第45章 夢幻
途端に心拍数は上昇してどうしたら良いのか解らず逃げ出したい一心から顔を横向けた
しかし無駄な抵抗とでも言うかの様に顎を掬い上げられ再び彼と目が合う
頭の両横に手を付かれて上体を此方へ傾ける目の前の彼は正に以前の出来事を彷彿とさせる色気を含んだ雰囲気を醸し出していて息が詰まった
「あのっ……イルミさ………」
言葉を発した瞬間に首筋に柔らかい感覚が走り
初めてキスされているんだと理解する
ちゅっちゅっとリップ音を立てて首筋を少しずつ降りて行く感覚に妙な声を上げぬ様に食い縛った
気が付くと鎖骨の辺りまで下がっており広い襟元の今日の洋服を少し後悔した
えらく敏感になった神経が彼の全ての仕草を拾う中
ヌルリと艶かしく動いた舌に首筋を舐め上げられて短く息を吐く様に声が漏れ一気に羞恥が沸き上がる
「安心しなよ。最後迄はしないから」
低く脳に響く様な声色で囁きを落とされてゾクゾクと沸き上がる快楽に涙が滲む内にも彼は容赦無く淫靡な水音を鳴らして耳元まで迫る