第45章 夢幻
(…………あかん。これ以上無理……)
私は意を決して自分から話し掛ける事にした
「イルミさん、何してるんですか……?」
「沙夜子を見てる」
「えっ!?」
咄嗟に彼を見れば思いの外近い距離に言葉が詰まる
じわじわと上がる体温を冷ます様に彼の少しひんやりとした大きな手が頬に触れてビクリと肩を振るわせた
「沙夜子も俺の事見てよ」
「………あの…イルミさん……?」
細められた彼の鋭い視線に射抜かれて固まっていると想像よりも骨張ってしっかりとした長い指が私の頬や顎を伝ってやんわりと唇の形を確かめる様になぞられる
頭を掠めるのは京都で見せた妖艶な彼の姿
私はあっという間に彼に組み敷かれて跨ぎ乗る彼の伏し目がちな瞳と目が合う
「あのっ………!イルミさんどうしました!?」
何の前触れも無く豹変した彼に思わず声を上げるが動揺から酷く震えた声を無視して髪をかき上げる彼は不適にペロリと舌舐めずりをする