第44章 私とクジラ
施設内には資料館の他本当の入江に仕切りを作ったスペースがあり鯨が泳いでいるので
まるで本当の海で野生の鯨を見付けた様な錯覚を覚えてテンションが上がった
「きたきた!泳いでる!」
「………」
私は思わず売っていた餌のバケツを購入して沢山のイルカや鯨が泳ぐ桟橋へ走る
「イルミさん早く!!」
「走ると海に落ちるよ」
振り返って呼び掛ければ保護者の様にゆっくりとした足取りで私の後を追って桟橋へやって来る彼
「餌あげましょう!」
「……」
緑の小さなバケツを彼に手渡す
バケツを見てご飯だと解ったのか足元に広がる海には次々に寄ってくるハナゴンドウやバンドウイルカが口を開いて待っていた
口の大きさや歯並び等じっくり観察出来る至近距離に寄ってきてくれてる事にテンションは益々上がり皆に行き渡る様に餌やりをし、沢山の写真を撮ったりと貴重な体験に夢中になる
彼は無表情に淡々と餌やりを済ませてそんな私を眺めて待っていてくれていた
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その後施設内にある小さな海洋水族館へ行くと出入口の隣にふれあいコーナーがあり小さなエイが泳いでいた
「おぉ!触る!」