第44章 私とクジラ
彼は彼で違うコーナーを見て回っていてお会計を済ませようと近付けば手に持っていたのはブルーベリージャムだった
「これ」
「ジャムですか。」
「うん」
「一緒に買いましょう!」
彼が自ら何かを欲しがる事は本当に少なく最初に出会った頃に比べると段々と人間味が出てきた様な気がして単純に嬉しく思った
車に乗り込み目的地へ向かう道すがらふと気になって問い掛ける
「そう言えば、イチゴジャムじゃなくて良かったんですか?」
「うん」
「何でブルーベリージャム?」
「色」
「………色で選んだんですか…?」
「そう」
「………そうですか」
(そんなに食欲そそる色ちゃうやん……)
ブルーベリージャムを思い浮かべるが黒にも近い紫色の何処に惹かれたのだろう……
彼の思考回路は全くもって摩訶不思議だ
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暫くして到着したのはくじらの博○館
遥か昔になるが幼い頃に家族で訪れて私は鯨やイルカは勿論、シャチの虜になった良き思い出がある
チケットを購入して中へ入れば変わらぬ光景に記憶が蘇った
「なんか全然変わってない!」
「ふーん」
パンフレットを開いてイベント情報に目を通すとあと数分でイルカショーの時間だったので彼を引っ張り早足でイルカショーの会場へ向かう