第42章 釣り上げましょう
私達は今実家から借りたファミリーカーで目的地を目指していた
彼にはベンツとかランボルギーニの様な車が似合うとは思うのだが平凡なファミリーカーだって彼とドライブ出来るなら何だって良い
借りる際に大袈裟なまでにニヤニヤしつつも快く車を貸してくれた母に感謝だ
運転席の彼をちらりと盗み見る
高い鼻筋に凛とした表情を浮かべ(無表情とも言う)慣れた様に片手でハンドルを緩く握る姿が目に入り後光でも射しているんじゃないかと思うくらいに眩しくて吐血してしまいそうだ
盗み見るとは一体何だろう。最早ガン見である
(ぬああああああっ!!何てかっこよさ!圧倒的美形っ!!!!これはキュンキュンで内臓一個潰れたんちゃうかぁ?!おい!!!)
荒ぶる脳内とは裏腹に視線は目まぐるしく動く
ハンドルを握っていない左腕はだらりと放られており控えめに捲りあげられた袖から血管の浮かぶ腕が覗いていて釘付けになる
私が全神経を目に集中していると呆れた声を掛けられた
「何?」
考えをそのままに『ほんまに素晴らしい造形ですよね全てが!出来れば腕の型取ってみたいです!』なんて言ってしまえばドン引き間違い無しなので
「安全運転でお願いします」
と、もっともらしく伝えておく