第41章 耳と歯形
同日の夜
予め伝えられてある彼の帰宅時間に合わせて夕食を作り
ちゃぶ台に並べ終える頃に彼は図ったかの様にきっちり帰宅した
その完璧な工程に嬉しくなり部屋へ歩みを進める彼を笑顔で振り返れば
無表情な彼の瞳が大きく開かれて揺れる
「イルミさん?」
普段と何も変わらない私を見て何を驚いているのか状況が解らずに彼を見詰めていると
早足で詰め寄った彼に乱暴に肩を掴まれ壁へ打ち付けられた
「いっ……!」
背中に衝撃を受けて漏れた声を遮って低い声が静まり返った室内に響く
「ヒソカと会ったの?」
「え、」
咄嗟に言い淀んでしまったのは本当の恋人でも無い癖に自身の恋心から何処か彼に対して後ろめたさを感じたからだった
思わず俯くが顎を乱暴に掬い上げられ今度は私が瞳を見開く