第39章 広がるのは美形の世界
「……そうか。此処だと手狭だし俺達のマンションに来ないか?」
「えっ!?「行く訳無いでしょ。恋人なんだから二人で過ごしたいし。ね、沙夜子?」
「……はい」
彼の口からスラスラとそんな言葉が出てくるとは思わなかった為にどぎまぎしながら返答する
と、泳いだ視線が粘着質な視線に絡まれて離せなくなる
ニヤニヤと笑う彼はやはりアニメ通り何を考えているか解らない
ペロリと舌舐めずりする彼は喉の奥で笑っていてゾクリと背筋が粟立つ
「沙夜子ちゃんって可愛い
ね……食べちゃいたいなぁ……♥️」
「!?」
瞬間ひゅんと空を切る音がして何処から出したのかヒソカさんが手に持つトランプに刺さった針を見て
隣に座るイルミさんが放ったのだと理解する
「ヒソカ。殺すよ?」
今までに感じた事のないピリピリとした空気に彼を見遣ると冷たく冷酷な雰囲気を纏っており
自身に向けられたものでは無いにせよ背筋が凍る
以前彼が醸し出したもの等少し不機嫌だったくらいの可愛らしいものだったのだと思い知らされた
「クックックッ………冗談だよ冗談……それより彼女、怯えちゃってるよ?本当に可愛いね♥️」
瞬間普段の雰囲気に戻り私の顔を覗き込む彼に安堵して胸を撫で下ろす
私はかなり怯えていたのだと解る程心配気に名を呼ばれ優しく割れ物を扱う様に髪を掬われてやっと肩の力が抜けた
「……どうやら本気らしいな……」
なんて苦笑いを浮かべたクロロさんの呟きに全力で
(ありがとうございます!カップルに見えますか!やっぱり両想いですかね!)と言いそうになったが心の中でニヤニヤするだけで止めておいた