第36章 そうだ京都へ行こう
4月29日
ドキドキワクワクのGWが始まった
旅行の計画を立ててからこの日が待ち遠しくてカレンダーを何度見たか解らないくらいだ
私達は電車とバスを乗り継ぎ京都の清水寺へやって来た
良く晴れ渡る春の空が心地良い
大きな赤く立派な門を潜ると
流石人気観光地だけあり大型連休の影響も受けて観光客で溢れ返っていた
しかし、人が多ければ多い程私の隣に並ぶ彼は異彩を放ち視線が刺さる
其の殆どが熱を帯びた熱い視線でちらほらと"イルミ"という単語も聞こえる
オロオロする私とは裏腹に彼は威風堂々としており気にする様子も無く私の手を引き歩き出した
「あの、イルミさん……「行こう。沙夜子楽しみにしてたでしょ。」
先を行く彼の表情は見えないが"気にしないで楽しもうよ"と言われた気がした
周りの視線を気にしていては十分に楽しめない……私は気を取り直して思いっきり彼の腕に抱き付いた
「へへっ」
「………」
気を取り直すと楽しみにしていた旅行がいよいよ始まったのだと嬉しくなって思わず笑ってしまった
彼の顔を覗き見たら驚いた様に瞳を見開いていたが何も言わずに腕が組みやすい様にポケットへ手を入れてくれたのでドキドキしながらもしっかりと腕を組んだ
境内には西門や鐘楼等の重要文化財が並び見事な造形を眺める
彼は余程興味があった様で立ち止まって繁々と眺めていた