第35章 楽しみ前のヒトコマ
「え………それは………」
告白にも似た質問に思う…ここで素直にイルミさんですと答えるのは気恥ずかしい………だが、此処で意地を張って何になるのだろう
彼と一緒に過ごせる短い時間の中で伝えられる事等僅かな物だ
私は意を決して、しかし何時もの調子で答えた
「私が漫画で見てた時から好きなキャラクターやったのはイルミさんですよ!」
「……そっか」
キャラクターやったのは、と敢えて過去形に言ったのは今彼は私と同じ世界に存在する生身の人間だからだが其は言わないでおいた
「私は昔からイルミさんを見てましたから!家族に対しての愛は歪んでるけど一途で努力家なんやなって勝手に思ってました。あと……自分をもっと大切にしてほしいってずっと思ってました」
「……そう」
「会ってみたらやっぱり努力家で、全然知らんかった律儀な部分とか可愛い部分いっぱい知れて私は嬉しいです!」
「………」
彼は何も言わずに俯いた
「……?イルミさん?」
「じゃあ、次に好きだったのは?」
「ヒソカかフェイタンですかね」
「………そっか。沙夜子は趣味が悪いんだね」
「失礼な!」
突然黙りこくった彼は溜息を付いた後に
「で、旅行どうする」
「え………あぁ、どうしましょ」
突然話を変えた
彼が何故そんな事を気にしたのかは解らないが
楽しい旅行を目前にワクワクしながらプランを組み立てた
何処へ行くにも彼と一緒ならきっと楽しくなるはずだ