第35章 楽しみ前のヒトコマ
私は悶えてよりゴロゴロが加速する
その状態のまま旅行プランを二人で練り上げて1つの紙へ計画を書き込んでいたのだが
うつ伏せに寝転んだまま二人で紙を覗き込むと思いの外顔が近くて緊張する
彼が紙より私をガン見していて変に緊張してしまうと言うのもあるのだが……
(至近距離に耐えれる美肌ちゃうし………はっず………)
そんな私を余所にご機嫌な様子で紙の端に落書きをする彼
そう言えば彼の絵は見たことが無い
満足気に書き上げた落書きを覗き見ると人間技とは思えぬタッチで描き上げられた精神をエグる様なイラストには【沙夜子】その隣に【キル】と書かれていた
アルカちゃんの話が本誌に掲載されていた際に不安定になる様なタッチの絵が載っていたがそれはどうやら彼の物だった様だ……
私は笑いを堪えつつも私の絵を描いてくれた事が嬉しくて隣に彼の絵を描いた
趣味程度の画力だが彼よりは上手いと思う……彼の絵の下にハンター文字で【イルミ】と書くと彼は瞳を大きく見開いた
「沙夜子が何故俺の世界の文字を書けるの?」
「マンガに載ってるから人名はちょっとだけ覚えてますよ!」
「…………ねぇ、沙夜子」
「はい?」
「沙夜子はコミックで俺達を見てる時、誰が一番好きだったの?」