第35章 楽しみ前のヒトコマ
4月下旬ゴールデンウィークが始まる
恋心を全面に出さぬ様にツンを目指していた私だったが
座っているだけでも只でさえ輝いて見えていた彼が輝き過ぎて目眩ましを毎日受けていては心が挫ける
その上、頭を撫でられたりじっと見詰められてしまえばツンを演出する事等不可能だった
私は彼と出会ってから頬が弛んでしまっているのでは無いだろうか
ニヤつくのを必死に堪える毎日を過ごしている
「イールミさんっ!」
「どうしたの?」
私はこのゴールデンウィークに1泊2日の京都旅行を企てていた
「旅行に行きましょう!」
「……何処に」
「京都です!」
以前テレビ番組で京都が映った際に食い入る様に画面を見詰めていた彼の横顔から興味があるのでは無いかと推測していた
「京都。行ってみたかったんだよね」
「良かった!じゃあ早速色々決めましょうよ!」
彼が乗り気なのは珍しい事なので単純に嬉しい
私達は京都観光をスマホで検索し苦戦しながらも宿を抑えた
「めっちゃ楽しみやなぁ~!」
妄想だけでドキドキワクワクして
床をゴロゴロ転がると
何故か彼も私を真似てゴロゴロ転がり出した
(かっわいい~~ッ!!!!)