第31章 小動物と彼
___________"
カラカラと早速回し車で遊ぶ音がキッチンまで聞こえて来て自然と和やかな気分になる
そんな中、チャーハンを作ろうとしていたのだが………
「お肉忘れた………すみません!チャーハンお肉無しで良いですか?」
「俺良いの持ってるよ」
「…………?」(持ってる……?)
「はい、これ」
彼が徐にまな板に置いたのは愛しのフワフワハムスターちゃんのライオネル親方だった
「うおおおおおおいッ!!!」
「これ食べれば良いんじゃない?」
私は彼をキッチンに残したままダッシュして親方を連れ
瞬時にケージへ避難させた
「イルミさんッ!!」
「?」
未だにキッチンに立ち尽くす彼を見る
真面目にキョトン顔をされても……
「だから!!いじめないでくださいって言うたでしょッ!!!!」
「……」
(え、無言………?)
彼が何を考えているのか全く解らないがもう一度釘をさして置いた
そして何故だかキッチンから動かない彼に背後から手元を覗き込まれつつ夕飯を作った
ドキドキし過ぎて少し焦がしてしまったがバレていない事を祈ろう………
二人並んで夕食を済ませて入浴し、居間へ出ると彼は回し車を自身の手に持ってケージの中の親方を見ていた
「…………何してるんですか」
「うるさいから外した」
「それはハムスターには無くてはなら無いものなんです!ハムスターは運動量の多い生き物やからケージは狭すぎるし運動不足になったら健康に長生き出来ないでしょ!!」
「でも「でもじゃないです、返してあげてください!」
無言ながら回し車を元に戻す彼
ライオネル親方は直ぐ様回し車で遊び初めてカラカラと音が鳴る
私も彼に並んでケージの前に座って眺める
「ちっちゃくて可愛いでしょ。人間は自分より弱い生き物を守れる力があるんやから意地悪したらダメです」
「………わかったよ」
彼は無表情ながらじっと親方を眺めていた
暗殺者として育った彼には難しい事なのだろうか
もしかしたら愛情を持ってペットを飼う事事態が未知の領域なのかもしれない
これから少しずつでも彼の中に守りたいという気持ちが芽生えたりするのだろうか……
彼と私と小さな命の生活はまだまだ始まったばかりだ