第30章 四月馬鹿で自覚する
私は個室にて考える
彼の先程の言動から脳裏にちらつくのは母から送られてきた【脈あり】の文字
"責任は取る"とはある意味プロポーズでは無いだろうか………
これは両想いだと確信しても良いのか……?
しかし………………
彼はいつか帰ってしまうのだ
想いは伝えない方が懸命………ズキリと痛む胸と喜びの二律背反が溢れた
(…………………でもちょっとくらい甘えても良いかな…………)
個室を出ると彼は座椅子に座っていた
腕を離れられた事は名残惜しくも緊張から解放されて一安心だ
しかし
「おいで」
彼は座ったまま膝をポンポンと叩く
(………………これは座れって事………?)
瞬間に顔に熱が集中するのが解った
しかし、先程の考えを実行する為に積極的に甘えてみる事にした
私は敢えて向き合う形で彼に跨がる
今にも羞恥と緊張で震え出してしまいそうな身体を抑えて真っ直ぐ彼を見詰めると彼は少し驚いた様に此方を見ていた
………駄目だ………このまま見詰め合っていたら私の気持ちを見透かされそうだ……
私は身体中が心臓になったかの様な錯覚すら覚える中
なけなしの勇気を振り絞って彼の首に腕を回して抱き付いた