第30章 四月馬鹿で自覚する
「ねぇ誰の子なの」
「いや、それは………」
嘘ですと言葉にしようとするが彼の無言の圧力が凄い
しかし、このまま放置する訳にはいかず私は生唾を飲み込み腹を括った
「………嘘です!ごめんなさい!」
「………………うそ」
「はい、ごめんなさい!」
私はその後即座にエイプリルフールの事を話した
彼は思い切り怪訝な顔を向けていたが何とか納得してくれた様だった…………………のだが
「許してあげる代わりに今日は1日俺の言うこと聞いてね」
「…………え」
「沙夜子が悪いんだよ?それともお説教が良かった?」
「………いえ」
「じゃあ良いね」
「…………はい……………えっと……その前に降ろしてもらっても良いですかね」
「駄目」
「………え」
「嫌なの?言うこと聞くんだよね。今すぐ説教に切り替えても良いんだよ」
「…………はい、すみません」
謎の沈黙が流れる
………………私は何故彼の上に座ったままじっとしているんだろう…
無言でテレビを見続ける彼を盗み見るが何を考えているのか解らない
(………めっちゃ恥ずかしい…………)
「あの………トイレ行きたいです」
「駄目」
「えっ!それは流石に………漏らします……困ります」
彼はひとつため息を付くと私を抱えたままトイレの前まで運んでくれた
「ありがとうございます………?」