第29章 キッチンでのヒトコマ
私がホットケーキを焼いている間
何故か私の背後から手元を覗き込んで来るので気分はバックハグの様で心臓に悪かった
(………心臓爆発しそうやけど……嬉しいな……)
無事ホットケーキが完成し居間には甘い香りが立ち込める
「いただきます!」
「いただきます」
正直、店で出てくる様なふわふわした厚みのある物でも無いしホイップクリームも付いていないので彼の想像とは異なっているだろう
ホットケーキを一口頬張った彼の様子を緊張の面持ちで伺う
彼は少し瞳を見開いた後に
「美味しい」
と言った
「でしょ!簡単やしまた作りましょうね!!」
「うん」
_________"
「出来たよ」
「……………あ、…ありがとう」
その後イルミさんのホットケーキブームは続き
ホットケーキミックスが無くなる一週間と少しの間彼は実にご機嫌な様子で私流のホットケーキを振る舞ってくれた
(もう………ホットケーキ食べたくない…………)