第28章 母とのヒトコマ
話しは一段落して
そろそろ帰るかなと彼に連絡をすると秒で返信が来て驚いた
【何処に居るの】
【ユダガワってバーです】
【ふーん】
(…………興味無いんかいっ………)
_________"
そろそろお開きかと思っていたが馬鹿みたいな話題で盛り上がってしまい
あれから随分と時間が過ぎて深夜2時
あれから彼の連絡は来ないし眠ってしまったのだろう
お会計を済ませて母の背を追って店を出ると
其処には彼が立っていた
「えっ!何で居てるんですか!」
「別に」
「別にって……いつから居てたんですか!」
「三時間前くらいかな」
「……!!言ってくださいよ!」
「せっかく親子水入らずなんだし邪魔でしょ」
「邪魔じゃないですよ……!待たせてしまってごめんなさい……」
「勝手に来ただけだし」
「………嬉しいです。ありがとう」
「うん。帰ろう」
「………はい!」
気が付くと母は居らず、多分だが気を利かせて二人きりにしてくれたのだろう
本当の自宅の様に"帰ろう"と言ってくれたのが嬉しくてその言葉を何度も思い返しては大事に胸に仕舞った
少し鼻のてっぺんが赤くなった彼の横顔を盗み見て
一人店の外で私を待ってくれている姿を想像してみる
何て可愛いんだろう。何て優しいんだろう。何て嬉しい出来事だろうか
帰宅して開いた携帯には
【脈あり】
という母の短い文章が入っていた