第27章 星を見るのも乙なもの
キッチン付近に戻った綺麗な女性店員は頬を赤らめて他の店員と彼を眺めつつ話していてその視線は熱っぽい
私も彼の端正な顔立ちや上品な雰囲気に慣れた訳では無いが彼の放つ魅力を再確認する
(私はそんな貴方にメロメロですよー)
決して声に出さず彼に目線を向けると彼の方はじっとパンケーキを眺めていた
「………ちょっと食べてみます?」
「うん。この間テレビで見てから少し興味があったんだ」
「そっか。甘いの好きですか?」
「それなりに」
甘い物も好きなのか………可愛いなぁなんて思いつつ半分に切り分けようとすると、一口で良いと言われたので一口分フォークで差し出す
(ちょっと待ってこれ…………あーんですやんっ……!!!!!)
常にぱっちり開いた瞳が細められ口を開く超絶美形に対して手が震える中パンケーキを運んだ
「美味しい」
形の良い唇に垂れたシロップをペロリと舐め取る仕草は淡白な雰囲気を一変させて妖艶な色気を放つ
視線を合わせたままの彼は何時もの無表情ながら私の顔はきっとパンケーキに添えられた苺の様に真っ赤なのだろう
その後私は間接キスの事ばかり考えていてパンケーキの味は一切堪能出来なかった