第27章 星を見るのも乙なもの
3月18日
ホワイトデーには全く触れず(イルミさんが知らないので)私達はプラネタリウムを堪能する為に昼食後に市立科学館に出向いていた
イルミさんの希望でタクシーで移動した
やはり庶民的な生活を少々送った所で彼のセレブ気質は抜けないらしい
小学生ぶりにやって来た市立科学館だが館内は思いの外広々としていて親子連れやカップルで賑わっている
私達はチケットを購入してプラネタリウムの時間まで館内の展示場を回る事にして一気に4階まで上がった
【宇宙とその発見】と書かれたプレートが頭上に見えている
惑星の大きさが分かり易く模型で型どられて比較されていたり
人工衛星から見た地球を模した模型が並び、星を詳しく知りたい人には解りやすく楽しい空間が広がっている
二人並んで展示を見ていて気が付いたのは
私は興味のある説明だけを読み、彼は隅々までしっかりと読み込むという事だ
以前動物園に行った際はまだ彼の勉強も始まっていなかったので私が解説していたが、本当に何でも読める様になったんだなと感心する
(…………しかも私より読むの早くない……?)
モニターには太陽が映し出されボタンを押すと解説アナウンスが流れたり模型に当たる太陽に模した光の方向を変えて月の満ち欠けをじっくりと見学する事が出来る装置が沢山ある中私はオーロラ発生装置というものに惹かれてボタンを押した
この装置は人工的にオーロラを発生させることができるそうで
ボタンを押すと瓶の様な物の中にオーロラがゆらゆらと現れた
「おぉ………」
容器の中を真空にして高い高度の大気を再現し、高電圧をかけて電子を加速することで、オーロラを再現している
と説明がツラツラと書かれてはいるが仕組みに関しては私の凡庸な頭脳では理解出来る筈も無く
ただ彼と二人小さなオーロラを眺めた