第26章 暗闇のヒトコマ
私はアドバイス通り暫く瞳を閉じてから辺りを見渡す
元々視力があまり宜しく無い方でぼんやりとだが辺りが見え始めたので湯船へ浸かった
程無くして再び心拍数が上がる
(……………え、………イルミさん見えてた………?!
うわぁうわぁうわぁ!!!!!!!!最っ悪や!!!…………いや、いくらイルミさんでもはっきりとは………気配だけで全部やって退けそうやし…………)
色々と考えたが結局解らず
普段よりも随分と時間は掛かるが眠る支度を整えて居間へ出る
「………イルミさんさっきはありがとうございました」
「別に」
「……………見えてたんですか?」
「いや」
「………そうですよね」
(っ!!!………良かったぁ!!!感覚だけを頼りにパターンやったんやな!ドキドキし過ぎて心臓発作で死ぬかと思った!!)
「………何で停電したんでしょ」
「結構大きめの落雷があったから。部屋一面真っ白になった」
「……気付きませんでした………テレビも付かんし寝ますか」
「そうだね」
私達は其々布団を敷いてイルミさんは既に眠る体制だが私はもう少し髪の毛が乾いてから布団に入る事にした
流石にびしょ濡れで布団に入るのには抵抗があるので
かつての定位置だった座椅子に座ってバスタオルで拭いていると
「寝ないの?」
「髪びちゃびちゃなんでねぇ……」
「そっか」
声の方向的に多分此方を見ずに彼は呟いた
「……やっぱり行きたいかも」
「え?」
「プラネタリウム」
「…!ほんまですか!!」
「うん。今日星見えなくて嫌だったし」
「そうでしたか」
彼の可愛い発言に思わずクスクスと笑ってしまう
彼は私が髪を乾かし終えるまでずっと会話を続けてくれて
何だか真っ暗なのに楽しく和やかな雰囲気のまま眠りに付けた
今夜は何だか良い夢がみられそうだ
________"
彼女がタオルで髪を拭いている姿をはっきりと目線に捉えつつ
実は暗闇でも目が利く事は敢えて黙っていた
(ヒソカみたいな変態だと思われたくないし…)
今までなら人にどう思われ様がどうでも良かった筈なのに……なんてぼんやり考えた