第2章 お金と条件
絞り出すように返答した
視線は敢えて外さなかった
(…… 生きた心地せんねんけど……こんな凡庸な小娘が崇高な一族の美形に何て事を……っ!!!)
しかし、私に貯金等無い。
私はフリーターだし、貯めるなら旅行に行きたい派なのだ。
扉の修理費なんて2ヶ月以上の生活費全て充ててやっと払える生活レベル…ここは何とか32万円確保しておきたかった
最早、神に祈る気持ちだ
(どうか…… どうか…… 振りだけで良いので……!!)
「良いよ。これから沙夜子に世話になる身だし、俺に出来る事なら何でもするよ」
(アメージングッ!!OKを頂けた上に何でもするよ…って!)
予想外だった
一気に肩の力が抜ける
アニメや漫画のイメージ通り無表情な彼の表情から気持ちは汲み取れ無いものの、本当にそう思っている様な響きだった
ネガティブに考えていた自分と相反して協力的な彼の姿勢に感激の余り先程の言葉が繰り返し繰り返しエコーがかかった様に脳内リピートされていた。
「それとさ」
静かに続ける彼に脳内リピートは止む
「こっちの世界は俺の世界と字も違うし通貨も違うんだね。」
「…はい」
「これから過ごして行くにも何かと不便だから、色々教えてくれない?」
それは確かに不便だろう
「はい!私に解る事やったら何でも聞いてください!」
笑顔で答えた後にはっとした