第11章 〜新しい朝〜※R18
零さんが食器洗いをしている間に、私は寝室の片付けを続けていた。大尉に邪魔をされるので、大尉をケージの中に放り込んで、作業を続けた。日が暮れる頃には殆どの物が片付いて、あとは明日、纏めればいいものだけになった。
『零さん、寝室は殆ど片付け終わりましたよ。こっちはどうですか?』
零「こっちももうすぐ終わるよ。今の内に俺の車の中に運んでおこうか。って言っても少しの荷物しか無いけどな。」
『そうします。そしたら明日はゆっくり出来ますし、、ゆっくり準備してから、マンションへ向かいましょう!』
零「あぁ、そうしようか。その方が朝からバタつかなくて済むしな。」
そうと決まれば、少ないダンボールを抱えて私達はホテルのエントランスを抜けて、駐車場へやってきた。零さんの軽自動車に、荷物を乗せて、部屋へと戻った時には既に日は暮れていて、ホテルからは綺麗な夜景が見えた。
『もう、この景色ともさよならですね。』
零「あぁ、そうだな。」
『そうだ、今日は久々に呑みますか?』
零「それもいいな。じゃぁ早速用意して、最後くらいここのルームサービスを頼もうか。」
フロントへ電話をしている零さんを目で追いながら、私はお酒の準備をしていた。
トクトクトクトク────
グラスにワインを注ぐ音が聞こえた。その動作をしているのは勿論零さんで、その注ぎ方が妙に色っぽい。先程、ホテルのボーイさんが、ルームサービスを運んできたのでそれを机の上に並べて、遅めの夜ご飯を食べる事にした。
零「真恋音は、白と赤どっちがいい?」
『今日は赤の気分です。』
零「珍しいな、いつも白なのに。」
自分の分を注ぎ終えた零さんが私のグラスに赤ワインを注ぐ。
『ありがとう。』
注ぎ終えたグラスを受け取って、零さんにお礼を言う。少し微笑んだ零さんが向かい側の椅子に座って、それぞれ好きな料理をお皿に取りながら、明日の事や、これまであった色んなことについて話した。
食事を終えてボーイさんに食器を片して貰ってから、私達はそれぞれお風呂に入る事にした。
『先に零さん、入ってきていいですよ。今日は暑かったから汗いっぱいかいたでしょ?』
零「なら、そうさせて貰う。」
ガチャ────...バタンッ...
扉の閉まる音がして、リビングが静寂に包まれる。今日の零さん、ずっと上の空だったな。