第5章 ~裏切り〜
私は不安で堪らなくなって、隠れていたところから姿を現した。
『透さん、隠れて脅かそうとしてたんですけど、今からデートか何かですか?』
私は必死に笑顔を作って透さんに問いかける。
?「あ、この子がボランティアっていう?あんまり、男の家に上がり込んじゃダメよ。」
『はい、そうですよね。じゃ、大尉にご飯もあげましたし、私はこれで失礼します!』
私は早々とその場を去った。透さんは1度も引き止めてはくれなかった。しかも、女の人はかなりの美人。私が浮気相手だったのかな。そうだよね。あんな美人さんが彼女で、珍味が味わいたくなっただけだよね。
『ふぅっ。』
泣かない。泣き虫は卒業したんだ。でもこればかりは酷いよ、透さんっ!
『うぇっ...ぐすっ...。』
私は帰り道、泣きながら咲璃愛に電話を掛けた。
咲「はい、もしもし?ってどうした?泣いてる?」
『うん。大尉にご飯あげに行ったら、とっ...透さんが帰ってきて、でも女の人と一緒だったのっ。』
咲「今すぐ家においで。抱きしめて上げる。」
私は咲璃愛にそう言われ、一人で泣きじゃくった。傍から見たら危ない人だか、お構い無しに、咲璃愛の家に向かった。
ピンポーン────。
昴「いらっしゃい。真恋音さん。」
『な、なんで沖矢さんが...?』
昴「いま、咲璃愛さんはお風呂です、僕はもう少ししたら帰るので。」
『そっ、そうなんですねっ!』
私は泣き顔を見られまいと、ダッシュで咲璃愛の部屋に入り、咲璃愛のベッドで蹲る。
昴「原因はあの男ですか?」
『はい...。私が浮気相手だったんです。本当に好きだったのに。』
昴「彼、探偵をされてるそうじゃ無いですか、クライアントさんだった、なんてことは無いんですか?」
そう言われてはっとする。でもそれならば出ていこうとした私を引き止める筈だった。
『彼、私を引き止めませんでした。出ていけって言われてる感じがして。彼女さんも凄く綺麗な人で、白髪の美しい髪をしていて、とても綺麗な外国の方でした。』
昴「ほぉ。それは、それは、真恋音さんが知らなくていい事だったんですよ。」
沖矢さんの言っている意味が分からなかった。