第16章 年末年始といえば...※R18
私達には飲み友以外にも関係がある。それは一般的に言うと、セフレ。所謂セックスフレンド。初めはお酒を呑んだ勢いで、降谷に抱かれたけど、近頃はお酒が無くてもその気になったら、どっちかのお家にお邪魔して、ベッドになだれ込む感じだ。
「んで? わざわざなんでこんな日に?」
「いや、一ノ瀬と、年が明けるまで一緒に居たいな〜なんてな。たまたまだよ。」
「あんたね〜。そういう事は彼女に言いなさいよ。なんでセフレの私なんかに。」
「俺が一緒に居たいと思ったから。」
急に真面目な顔になって、でもそれもほんの一瞬で。また、いつものふにゃふにゃな笑顔になった。
実を言うと、私は降谷の事をよく知らなくて、仕事が出来て、イケメンで、お酒が強くて、えっちが上手な事くらいしか知らない。さぞかしモテるだろうと思って、彼女のことを聞いてみたけれど、「居たら一ノ瀬なんかと飲みに来ない」の、一点張りだった。一緒に飲みに来た時も、私が仕事のことを愚痴るばかりで、降谷の普段の生活とかは一切聞いたことがなかった。
「ねぇ.....。」
「ん?」
「降谷ってさ、私と一緒に居ない時って、何してんの?」
私はさっき思いついたことが気になって、降谷に聞いてみた。でも返ってきた返事は、案外適当で、「男友達と遊んでる」だった。
「いや、なんかそういうのじゃなくて、趣味とか、夢中になる事とか。」
「うーーーーん.....。」
と、眉間に皺をめちゃくちゃ寄せて、10秒位黙り込んだあと、
「ないね。」
と淡々とした返事が帰ってきた。
「ごめん、聞いた私が悪かった。」
本当に申し訳なく思って、そう謝ると、降谷から「強いていえば.....。」と言われた。
私はその先が気になって「何?」と答えた。
「一ノ瀬と、こうやって、一緒に飲みいったり、デート? なのかな。遊んだりするのは、俺、結構好きだよ。」
好きだよ.....。自分に言われた事じゃないのに、急に恥ずかしくなって、顔が一気に暑くなるのが分かった。
「一ノ瀬、顔が赤いぞ。」
「うっさい。降谷が変な事言うからでしょ!」
当の本人は全然分かって居ないようで、ポカンとしていた。