第2章 〜初めての感情〜
透「僕ですね、探偵もしているんですよ。」
『た、探偵ですか?』
透「ええ、上の毛利探偵に弟子入りしていて、もしよろしければ何かあった時、僕に相談して下さいね。」
と、電話番号とメールアドレスが書かれた紙を渡される。
『私に限ってそんな悩み事ないと思いますけど。』
と丁重にお断りしようとすると、
透「ちょっと心配な事とかでもいいんですよ。この間のお連れの方のご相談とかでも構いませんし。」
と念を押されてしまった。ちょっと強引だけど、そこは気にしない。第一、異性の連絡先なんて貰ったのは初めてだ。
『あ、お会計お願いしても良いですか?』
透「ええ、抹茶のオペラ、僕のツケにしておきますね。あんなに美味しそうに食べてくれたのは真恋音さんが初めてですので。」
『え?!そんな悪いです!』
透「良いんですよ、それより、絶対にまた来て下さいね。」
『じゃ、じゃあお言葉に甘えて。また来ますね。』
透「はい、ありがとうございます。」
リン────。
ポアロを出て、家路に着きながら先程貰った紙を見る。安室さんって不思議な人だな、まだ2回しか来店していない客に連絡先とか教えるなんて。
『まぁ、いいか。』
来週は研修終わりの咲璃愛の奢りでまたポアロに行くか。沖矢さんとの事もじっくりと聞いてあげなければ、咲璃愛のことだ、聞かずとも話すだろうけれど。
うん!来週が楽しみだ、この間から、レポート全然書いてないから頑張ろう!そういえば、今日は変な動悸しなかったな。やっぱりこの間、体調が良くなかったのかな。
と、私は考え事をしながら、家までの道をルンルン気分で歩いた。