第13章 〜希望〜
看「それじゃあお産に入りましょうか!先生呼んでくるわね!」
『はぁ...。うっ...。』
零「大丈夫か?もう少し一緒に頑張ろうな。」
零に声を掛けられて、少しだけ微笑んだ。
部屋の中に看護婦さんと先生が入ってきて、慌ただしくお産の準備が始まった。
医「どうかな〜。降谷さん〜、次で少し、いきんでみようね。」
そう言われても、痛みで頭がおかしくなりそうで。
『はあっ...。はぁ...。』
医「は〜い、上手上手〜。」
上手なのかなんて、そんなものもどうだってよくて、黙って私の手を握っている零の掌を私も強く握り返した。
看「赤ちゃんの頭見えてますよ〜。ゆっくり息吐いて〜、はぁ〜。」
『はぁ〜。』
気付かないうちに、会陰切開も終わっていた。ブチンって音は聞こえてきたけれど。痛みなんて全然感じなかった。
医「は〜い、来たよ〜、いきんでね、力入れて!もう出てくるよ〜、ほら〜。」
おぎゃ~と、室内に響く我が子の産声。
医「おめでとうございます!元気な女の子ですよ〜。」
私は声すら出なくって、零は私の手を握りながら泣いて、そして笑っていた。
零「良かった〜、無事に生まれてきてくれて。頑張ったな真恋音。ありがとう。お疲れさま。」
『うん、零もありがとう。』
2人して幸せそうに微笑んで。先生に切った所を縫ってもらったりして、その間赤ちゃんは沐浴に行って、綺麗になって私達の所へ帰ってきた。
『ゆらちゃん、初めまして、ママですよ〜。』
零「パパですよ〜。」
『可愛いね、そうだ、零仕事は大丈夫なの?』
零「それなんだけど、ごめんな、あと少ししたら向かわなきゃ行けないんだ。退院の日にまたこっち帰ってくるから。」
『ううん、全然大丈夫。ここは病院だし、何かあったら看護婦さん達が付いてるから!』
零「ああ、そうだな。」
『どーする?一旦お家に帰るでしょ?』
零「うん、そうしようかな。じゃあ何かあったら連絡してくれよ。」
荷物をササッと纏めて、零は病室から出て行った。