第13章 〜希望〜
零が家に着いてから、直ぐに病院へと向かった。
医「こんな夜中にね、大変でしたね。旦那さんは立ち会いで?」
零「はい。立ち会い希望です。」
医「大丈夫?結構グロテスクよ?」
零「慣れてるんで、大丈夫です。」
そんな話をしているのを聞き取れる位余裕はあった。
医「まだね、子宮口も全然開いてないからね。産まれるまで時間はかなりかかると思うわ。降谷さん頑張りましょうね!」
『はい。』
医「何かあったらナースコールを押してね。あまりにも微弱陣痛が続いて、子宮口が開かない様だったら、階段の昇り降りしてみてね。きついと思うけれど、赤ちゃんも頑張ってるからね。」
『はい。わかりました!』
そう言い残して、お医者さんは出ていった。
『あ、きた。』
零「大丈夫か?腰擦ろうか?」
『ううん、全然痛くないから大丈夫。』
零「ほんとか?辛かったらいつでも言っていいぞ?何かいるものとか大丈夫か?」
『じゃぁ、水が欲しいな。ちゃんとした痛みが来る前にご飯も食べてた方がいいのかな?』
零「食べれそうなら、なんか買ってくるけど?どうする?」
『ううん。やっぱり要らない。』
零「そうか、じゃぁ、コンビニ行ってくる。」
『うん。あ!お菓子かってきて!初産だったら、1週間、病院に居なきゃ行けないから!』
零「了解、行ってくる。」
『うん!行ってらっしゃい!』
そう、零を送り出してからも、少しの痛みがかなり感覚を開けてから続いていた。
零「ただいま〜。」
『おかえり。先生の言ってた通り、最初は全然痛くないよ。』
零「そうなのか?てっきり凄い痛みが何時間も続けて来るものだと思ってた。」
『どんどん感覚が短くなって、その都度痛みも増していくんだって。本当に立ち会いするの?多分だけど、大分血まみれの現場になると思うよ?』
零「見慣れてるから大丈夫って、先生にも言っといたから。」
『そうだね。』
そう言うと、零が大きな欠伸をしたので全然寝れてないんだなぁと思って、寝ていいよと促した。病室のソファに寝転んであっという間に寝息を立てて眠ってしまった零に、おやすみと言って私は度々来る陣痛に耐えていた。