第13章 〜希望〜
私は袋から小さな箱を取り出して、包装を解き開けた。
『ペアリング?』
零「そう、1個は俺の、もう一個は真恋音のだ。結婚指輪ずっと先延ばしにしてただろ?いい加減買わなきゃと思って。この間、買ってきたんだ。」
小さなダイヤがリングに何個か散りばめられて、でも悲しい事に妊娠中は体がむくんで、指に嵌めることが出来ない。
『これ、首から掛けてても良い?指に嵌らないと思うから。』
零「そう言うと思って、チェーンも買ってきてあるぞ、ほら。」
『ほんとうだ、ありがとう。』
そっと指輪をチェーンに通して、零は私の首に掛けてくれた。私も零の指輪をとって、左手の薬指に付けてあげた。
零「お揃いだな。」
『うん。本当にありがとう。これ零の分身だと思っていい?零がお仕事でいない時も。これ見てたら頑張れるから。』
零「俺もこれを真恋音の分身だと思うから、でも潜入捜査の時は外すかも。」
『いいよ、外してね。』
そう約束して、私達はキスをした。
2ヶ月後────
零「ごめんな、予定日間近だってのに、仕事が入って、1週間で帰ってくるから。」
『全然いいよ、大丈夫、これがあるから。』
そう言って首に掛けていた、この間貰った結婚指輪を見せて、私は微笑んだ。
零「じゃ、行ってくるから。大尉と雪を宜しくな。」
『うん!行ってらっしゃい!』
零「陣痛来たら、直ぐに連絡してくれよ、飛んで行くから。」
『分かってるから、行ってらっしゃい!』
心配そうに、スーツをビシッと決めて出ていった零に、本当に親バカになりそうだなと思った。
零が仕事に行ってから3日経って、夜中に生理痛位の腹痛に襲われた。
『陣痛かな、零に電話しなきゃ。』
出るかな、そう思いながら電話を掛けた。
『もしもし?零?起きてた?』
零「うん、電話鳴ったからもう駐車場に向かってるけど、陣痛来たのか?」
『予定日より少し早いけど、そうみたい。今すぐ来て。』
零「夜だから、道は空いてるから高速使って30分位で着くよ、我慢できそうか?」
『うん、まだ軽いから、大丈夫。病院にも連絡しとくね。』
零「すぐ向かう。」
そう言われて、電話を切られた。