第13章 〜希望〜
『昔、虐められてたの?』
自信たっぷりでプライドも高い零からそんな言葉が出るなんて信じられなくて、私は聞いた。
零「情けない話だけどな、当時は凄く傷付いて、喧嘩ばっかりしてたな。」
そう思い出しながら言う零に、私はこう言って。
『もっと小さい頃の零に出会いたかったな。その髪色も肌も目の色も、全然変じゃないし、素敵だよって言ってあげたかった。』
零「ははっ!」
言ってあげたら、面白可笑しく笑う零に、私は変な事を言ってしまったかと不安になる。
『え?なに?どこか変だった!?』
零「いや、昔全く同じ事を言われてな。そいつ男なのに、真面目な顔して言うんだよ。ははっ!思い出したら笑えるな。」
そう笑って、でもまた悲しい顔をして。
零「そいつなんだ。赤井に迫られて自害したのは。」
『え...。あの、ごめん。』
零「いいよ、謝らなくて、赤井にもちゃんと誤ってもらって、許したし、もうちゃんと過去に出来てるから。景光は、真恋音みたいなやつだったよ。」
『ヒロミツさんって言うんだね。どこら辺が私に似てたの?』
そう気になって、聞いてみた。私に似てる。零がどんな風に言ったか分からないけれど、私は零とお腹の中の子が生きる希望だし、零にとって私もそんな存在であればいいと、そう願った。
零「さっきの言動もそうだけど、そうだな性格は全然似てないけど、俺の行く道も全て照らしてくれて、太陽のような、暖かいやつだったよ。」
私はそう言われて、自分に向けても言われている気がして、少し照れくさくなった。
『私も零と由良が生きる希望だよ。あっ、あと、大尉と雪もね。』
零「おまけみたいに言うなよ。あっそうだ、この間、桜川夫妻から連絡が来て、建設準備は順調で、由良が生まれる頃には、家が完成するそうだ。」
『ほんとうですかっ!?私ずっと楽しみにしてたんです!マイホームで零と子供たちと一緒に暮らせるの!』
零「俺もずっと楽しみにしてたよ。あ、この話の流れで渡すけど、これプレゼント。」
そう机の上に置いてあった小さな紙袋を私に渡して、開けてみてと言われた。