第12章 〜不穏な気配〜
目を開けると見知らぬ男の人がいて。私を心配そうな顔で覗き込んでいた。
?「目が覚めたか。体調はどうだ?」
『なんで勝手にっ...鍵は!どうやって...。あっ...。』
私はまた目眩がして、後に倒れそうになる。
?「おい!大丈夫か!急に立ち上がるからだ、大人しくしてろ。降谷くんになんて言われるか。」
『零さんの事知ってるんですか?』
降谷くん。そう慣れた様にいう男の人に、私は問いかけた。
?「知ってるも何も、今朝まで一緒に居たさ。ニュース見てないのか?」
今朝まで一緒に居た?だったら零さんはきっと無事なんだ。ニュースってなんのニュースだろう。
『良かった...。』
?「良かった?」
『今朝まで一緒だったなら、零さん無事なんでしょう?それより貴方の名前を教えて下さい。私は降谷真恋音って言います。』
?「知っているさ、随分前からな。俺の名前は赤井秀一だ。」
『赤井さんですか...。』
赤「そうだ。降谷くんに頼まれたんだよ。彼は始末書や報告書で手が一杯だそうで、俺が君の様子を見に行ってくれとな。彼から何も聞いていないのか?」
『ええ、何も聞いてないです。』
赤「そうか、ならば教えてやろう。降谷くん達、公安警察と俺達FBIが追っていた、世界的な犯罪組織の壊滅に成功した。ニュースにもなっていただろう?」
最近は、ストレスが原因で鬱になり掛けていた。テレビを見る気力もなくて、吐き気が凄かった。
『最近、テレビを見る気力も無くて...。ってFBIって、まさか貴方...。あの...。』
赤「そうだ。降谷くんが殺したい程憎んでいる男だ。」
『違う、そうじゃなくて、沖矢さんですよね...?』
赤「あ...あぁ、そういう事になるのか。」
沖矢さんだと、確認して、今一番確認したい事があった。
『咲璃愛は元気ですか?』
赤「元気だぞ。まだ籍も入れてやれていないが、今回の案件が終わってからプロポーズしようと思っていたんだ。統雅も恵麗那も元気だ。咲璃愛は君に会いたがっていた。いつか会ってやってはくれないか。」
『私も咲璃愛に会いたいですけど、もう会いづらいと言うか、もう少し落ち着いてからいつか会いに行きますね。』
赤「絶対だぞ。」
『はい。いつか必ず。』