第11章 〜新しい朝〜※R18
零「俺のいない所で死なれたら困るから。」
『死にませんよ。零さんのいない所でなんて。』
そんな事を話している間に、家に着いた。
零「ほら歩けるか?」
『はい...。大丈夫です。零さんは荷物をお願いします。』
零「あぁ、わかった。」
私は必死に重たい足を動かして、エレベーターへと続く通路を歩く。先程は見つけられなかったが、部屋から1番遠いところにエレベーターがあるのを見つけたのだ。そこに大量の荷物を抱えた零さんも乗り込む。
チンッ────
エレベーターが私たちの部屋の階に着いて、私は再び重たい足を動かして、何とか部屋へとたどり着いた。玄関を開けて、すぐの部屋の寝室のベッドに転がり込む。
『少し休みます。お仕事行く時は玄関の鍵、ちゃんと閉めて行ってくださいね。』
零「分かった。おやすみ。」
────
『んっ...。』
重たい瞼を開けて、私は目を覚ます。寝室の窓から外を見ると既に真っ暗だった。私はベッドから、降りて零さんを呼ぼうとする。
『あ、仕事に行ってもう居ないんだ。』
パタパタと歩いて、私はリビングに行く。すると、テーブルの上に土鍋があった。触れてみるとまだ少し温かい。その横には置き手紙があった。
────
真恋音へ
体調は少しでも良くなったか?食材は全て冷蔵庫に直してあるから。あと渡しそびれたお金も置いて行くよ。何があるか分からないから少し多めにね。大尉のご飯の様子もみてあげてくれ。あと必ず明日病院へ行くこと。絶対だぞ?
追伸
お粥作ってあるから、お腹が空いてたら食べてくれ。薬も置いて行くから。
零
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多めにねって1ヶ月で20万は少し多過ぎるよな。1ヶ月分の家賃は敷金礼金に含まれているし、一人暮らしだとそんなに光熱費もかからないし、大尉と私の食費だけでいいのになぁ。私の貯金もまだあるのに。それよりまだ温かい、お粥を食べよう。
『いただきます。』
1人での食事は久々だな。お粥もこんなに美味しいのに、美味しいねって誰かに言えないのは。
『寂しいなぁ...。』
黙々と食べて、私はお粥を完食する。そしてそばに置いてあった薬も飲んだ。
『ごちそうさまでした。』
これから長い長い1人の日が始まる。