第4章 誘拐
「んーー!!んーー!!」
必死で助けを呼ぶが、馬車の車輪の音でかき消される。
それでも、諦めずに叫んでいると
「うるっせぇな………黙らせてやろうかっ!!!」
賊の一人が手を上げた瞬間
『ドカーーーーーン!!!』
と、爆音が聞こえて馬車が揺れた。
「キャアッ!」
揺れた表示に、口を覆っていた布が外れた。
周りを見ると、男共がひっくり返っている。
「い、一体何がっ………?!何が起きたっ?!」
賊が叫ぶと、馬車の屋根、だったところに人影が見えた。
「あ……………ジャ、ジャーファルっ?!」
うちは、驚いて叫んでしまった。あんなに熱があったのに……というか、どうやって馬車に追い付いたんだろ………。