第2章 異文化交流:前半戦
砂粒談、友情は一日にして成らず。日々積み重ねよ!
まずは手料理を振る舞って一緒に食事をする所から始めれば良いのではとのことだった。だが私は死人で食事を必要としない。出来ない訳ではないが私の内蔵は機能していないので食べても消化しないのだ。だから食べた後の処理が大変で。それはいいが最大の問題は私には味覚が無いことだ。料理は味覚がある人間が作ってなんぼのもののように思えるが。
『ならお菓子作りなんてどう?分量と順序さえ間違えなければ問題ないわ』
「菓子作り、か」
『幾つか初心者でも簡単に作れるレシピをメールで送るね』
会話を終えて直ぐにレシピと激励の文が端末に送られていた。相変わらず仕事が早い。
「思ったより友情って大変なんだな」
端末を握りながら嘆息する。ここまで大掛かかりで尚且つ、長期戦になるとは夢にも思わなかった。しかし、やると決めたなら動かなくてはな。それが意思あるモノの義務だ。端末を弄りながら必要な材料や道具を確認しながら買い物に出向く準備をする。憂城が帰るのは今夜だ。それまでに準備は整うだろう。
「無塩バター?バターはバターじゃないのか?砂糖もこんな種類が!小麦粉まで!どれが正解なんだ!?他にも聞いたことがない材料が存在するのだが!砂粒えんも!早くも挫折しそうだ!砂粒えもーーーん!!」
前途は多難だがな。