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友達のナリカタ【十二大戦】

第3章 異文化交流:後半戦


オーブンから焼き菓子が焼き上がる芳ばしい香りが溢れ始めるが残念なことにその菓子が憂城の口に入る可能性はとても低い。端末を握りしめ憂城にコールするも。

「出ないか」

まだ、彼の用事が済んでいないのか。はたまた気が付いていないだけかコール音のみが虚しく響くだけだった。仕方がない。《憂城、危険だ。帰ってくるな》と短い文を送信する。彼ならこれで大丈夫だろう。

「さてと、私はどうするかな」

敵の数、不明。装備はアサルトライフル以外不明。目的も不明瞭。このログハウスは包囲されていると考えるべきか。ここからショッピングモールまでの距離は凡そ1㎞弱だが私の足で包囲網を抜けていけるか?仮に抜け辿り着いたとして目撃を恐れない輩だ。いらない犠牲者をだしかねない。ならば近くの山に逃げ込むしかないだろう。頼れる装備は無く戦地を渡り歩いた経験はあるが戦闘経験はない。常に殺られっぱなしであるが。

「何とかするしかないか」

絶望的な状況だが支障なし。生憎と普通の人間ではなく死体なのでね。私は直ぐ様、出口へ走り戸を蹴破る勢いで開け体を地面スレスレまで前のめりに倒し両腕で頭を庇いつつ突貫する。案の定、四方八方から弾丸の雨が降り注いだ。

弾丸が掠れ肉が削られてゆくが頭と足が無事ならば問題ない。このまま近くの森林に逃げ込みほとぼりが冷めるまで身を隠す。駄目だった場合は死んだフリ。それでも駄目だった場合はその時に考えればいい。

腕を犠牲にして茂みに滑り込み木を盾に弾丸を避けスピードを落とすこと無く山の方角へ目指す。身体能力は並だがスタミナは死人故に無尽蔵。

暫く休むこと無く走り続けるも違和感を覚えて足を止め振り返る。妙な静けさが辺りを支配し追跡者特有の気配を全く感じなかった。

「追ってきていないのか?」

何かおかしい。しかし、立ち止まってはいられないのは確かだ。胸に突っ掛かるものがあるが今は離脱が先だろう。私が気付いていないだけで追われている可能性も否定はできないのだから。
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