第2章 ルクリア
泥まみれで任務から帰ってすぐに新しいシャンプーを試した。
途中で立ち寄った外国のお店で買ったばかりものだ。華やかなパッケージがとてもお洒落で、いわゆるパケ買いであるのだけれど。並んでいたテスターの中でいちばん気に入った、私の好きな香りだった。上品さがありながらも爽やかで心地がいい。
帰宅する前にばったりと会った紅に誘われて、これから上忍の飲み会へ行く。どうやら男性の忍も参加するらしい。ならば、泥臭さを纏って行くわけにはいかないのだ。私も大人、妙齢にはなったが、心はまだ乙女なのである。
乾かしたての髪を揺らしながら夜の里を歩く。まだ慣れない香りは、髪が少し揺れただけでもふわりと鼻をかすめていき、気分を上げてくれる。
◇◇◇
飲み会が始まり、会場は大いに盛り上がっていた。忍も人間だ。羽目を外したいときもある。
最初はくノ一だけで集まって席に着いていたので、まるで女子会のようになっていた。久しぶりに会う面々と一頻りに話をした。仕事の話に、恋愛の話。女同士だからできる話題にたくさん笑って、気分が良かった。
やがて会話に加わった男性陣と話し込んでいるうちに、女子会も散り散りになった。
もうどれくらい時間が経ったんだろうか。私は会場の隅の方で、1人でお酒を飲んでいた。頼んだカクテルが美味しくてじっくりと味わっていた。
「夢乃」
名前を呼ばれて見上げると、声の主がのそのそと私の隣に座るところだった。
「カカシ先輩」
「いやぁ、向こうは随分と盛り上がってるわ」
お疲れさまです、と笑いかけるとカカシ先輩も微笑み返してくれた。
酔っ払って、忍とはなんたるかを雄弁に語っているガイさんや男性の忍たちに視線を向けながら、やれやれといったご様子だった。
「ガイさんたちと飲まなくていいんですか?」
「見ての通り、あっちは暑苦しくってね。もうお腹いっぱいだよ」
少しの間避難させてね、と困り顔で言うカカシ先輩に、お酒注ぎますと申し出たが、見渡せば周りには空の瓶ばかり。新品の瓶ビールを注文すると、カカシ先輩は悪いねと気を遣ってくれた。
「夢乃は何を飲んでるの?」
「ライチとグレープフルーツのお酒です。美味しいですよ」
「一口貰ってもいい?」
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