Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第4章 思い
「…っ!!なによこれっ…!!」
ナツがちょっとまてと叫ぶ前にリデルが声を荒げる。
ナツの背中に点在する、大量の赤い印。
それを見た他の看護師達も、顔を見合わせざわつき始めた。
ざわつきたいのはこっちの方だ。
ざわつく彼女たちに怪訝な表情を向けるナツの髪を、リデルが乱暴に掴み上げる。
「…っぅ…」
何本か、髪が抜けたような気がした。
無理矢理向かい合わせられた顔。ナツの視線がリデルのそれと絡み合う。
その瞳にははっきりと、狂気の色が宿っていた。
ローが相手に跡の残さない、付けさせないのは有名な話だった。
それは看護師長も正看護師も例外ではない。
理由は分からない。
ただ面倒だからつけないし、自由を愛する彼だからこそ
そんな跡に縛られるのは嫌なのかもしれない。
そんな一面もかっこいいと、その話はよく話題に上がっていた。
そんな彼が残したと思われる、ナツの背中に存在するおびただしい数の印。
それは彼女たちを動揺させるには十分だった。
「写真だけで済ませてやろうかと思ったけど。……気が変わったわ」
ナツの目の前に突き付けられたナイフ。
「あなたにはこの印より、こっちの方がお似合いよ。一生消えないような傷、この綺麗な印の上に刻んであげるわ」
リデルは狂気の笑みを浮かべながら、ナイフをナツ体に這わせる。
ナツはハードルの上がった嫌がらせと、冷たい感覚のなぞった後にじんわりと訪れる熱と痛みに眉を顰めた。
写真をばら撒くだけでもハイレベルなのに、まさかのめった刺しとは。
最早これは嫌がらせを通り越して犯罪だろ。
ここ数日で立派な犯罪の被害者を二連覇だ。
流石に犯罪思考の危ない人にモテすぎだろうと、ナツはため息を漏らした。
背中から赤い線が伝い落ちる感覚に、ナツは意を決して両腕に力を込めた。