Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第4章 思い
「わー。女ってホント怖いのね」
ナツが死ぬ気で反撃しようとした時、聞き覚えのある気の抜けた声が聞こえてきた。
何時の間にか開かれている扉。
扉の近くには、サボり常習犯で神出鬼没なペンギンが立っていた。
「……機能訓練部の統括部長様がこんな所に何のご用?」
鍵の閉められたこの閉ざされた部屋に、何事もなく侵入してきたペンギン。
表情は変わらないものの、内心動揺しているらしいリデルは
ナツを組み敷き背中にナイフを這わせていた腕を止めると、立ち上がりペンギンの方を振り向いた。
「俺がどこで何しようとどうでも良いっしょ。それよりそれ、返して貰って良い?」
食えない笑みを浮かべたペンギンはそう言って、未だ他の看護師達に押さえ付けられているナツを指差す。
そんな彼の発言を鼻で笑ったリデルは、好戦的な目をペンギンに向けた。
「統括部長、あなたまでこんな女にご執心なの?……そんなイイモノじゃないわよ?」
「イイモノじゃないなら是非譲って?美意識高いリデルちゃんにはもっと良い被写体、準備してあげるけど」
こ、怖ぇ……。
顔は笑ってるのに、ペンギンが何か怖ぇ。
ポケットに手を突っ込んだまま、一見リデルとの会話を楽しんでいるようにも見えるペンギン。
何がと聞かれてもよく分からないが今の彼は、
いつものペンギンとはどこか違った雰囲気を纏っているように見えた。
看護師達もそれに気付いているのか、押さえ付ける手に込められた力が弛んだ気がする。
タイミングを見て、取り敢えず立ち上がろう。
うん。
「……邪魔するなって言ってるの。分からない?あなたには関係ないでしょう」
へらへらと笑うペンギンから滲み出るあの威圧感を、リデルは気付いていないのだろうか。
あろうことかナイフをペンギンの喉元に突きつけて、怪しく笑う狂った女に
ナツは息を飲んだ。
ペンギンの命が危機だ。
ここまでぶっ飛んだヤツだとは思わなかったよ正看護師!
助けてくれようとしてる彼を、このままでは巻き込んでしまう。
ナツは膝と肘を折り曲げ、不測の事態にはリデルを取り押さえられるようにと臨戦態勢を取る。
こんな状況だというのに
チラリと目が合ったペンギンは、おどけたように笑っていた。