Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
「えーっと頼まれた物ってここら辺の部屋かな?」
そして今日も、ナツは毎度のようにパシられる。
そのお陰で院内の構図を把握できたのはいいが、それにしたってこう頻繁にこき使われては疲労の蓄積が半端ない。
ナツは目的の部屋を見つけると、さっさと仕事に戻ろうと用件を済ませようとした。
「……ん?」
物置部屋の扉に手をかけようとした瞬間、中から微かに声のような物音が聞こえる。
ナツはその場に立ち止まり、音の出所を探ろうと耳を澄ませた。
なんだか、卑猥な音が聞こえる気がする。
(んん!?)
その音が示すことに、思わずずさーっと身を引いた。
確かにこの場所はあまり使われてなさそうだし、そういう行為をするには良いのかもしれない。
でも何も私が用事がある時にしなくてもいいだろ。
ど、どうしよう。
今日私をパシったのは色々と口煩くて面倒な看護師だ。
中に乱入しようとは死んでも思わない。
かと言ってこのまま終わるのを待って戻るのが遅れれば
それはそれで怒られる。
「……ん…っ…トラ…ル……ガー…先生」
「……随分と積極的じゃねぇか。ここ、そんなにイイのか?」
(…ファッ!?)
どっちに転んでも最悪な状況に頭を悩ませていると、卑猥な音と共に聞こえてきた言葉はナツに更なる衝撃を与えた。
こんな所で盛るとはどこのどいつかと思ったら
まさかの院長本人だと?
(いやいやなぜこの場所で!?するなら院長室とかあるでしょう!あれか、シュチエーション的なあれか!?私の仕事を妨害してでも雰囲気大事にするその心意気、流石です!!いやまじ勘弁してくれよ!)
もう何も取らずに帰って怒られよう。
ナツのこれからの予定は結構あっさり決まった。
外まで音が聞こえてくるとか、激しいにも程があるだろ。
呆れかえった顔で物置に目を向けると
院長の少し掠れた低い声で紡がれる、卑猥な言葉が耳を掠めた。
思わず耳を塞ぎダッシュでその場を離れる。
何か咥えろとかそんな言葉が聞こえてきた気がするけど、これ以上私の精神にダメージを与えるなと言いたい。
院長の性格を何となく察したナツは、『あ、これ絶対仲良くなれないパターンだ』と分かり、本格的に辞める計画を企てることにした。