Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第1章 出会い
ベポと知り合って数日。
院長は相変わらずモテモテだ。
そして毎日のように流れる噂話に、ナツは少しだが耐性が付き始めていた。
「A棟のミア、遂に1級看護師に昇格したらしいわよ。いいなぁ。私も早く昇格して、トラファルガー先生のお手伝いがしたいわ」
梅雨が訪れて雨の日が続くこの季節。昼休みの休憩室は相変わらず、院長の話で持ちきりだ。
「どうせ院長に取り入って昇格して貰ったんでしょ。あの腹黒女、要注意人物よ!」
そして少し前に知ったことだが、この病院では、看護師の中で階級制度があるらしい。
5級から始まり1級まで上がれば、次は正看護師、看護師長となり、正看護師以上が院長の手術に立ち会える。
更にはこの広大な総合病院には社宅のような場所があり、希望したものは無料で住む事ができるようだ。
看護師長や正看護師の部屋は院長の部屋からも近く、間取りや設備のグレードも他の部屋とは桁違いらしい。
大奥かよ、とナツは顔を引きつらせた。
例え無料だろうがそんな危険で怪しげな社宅に入るつもりはない。
ナツは自分で近くのアパートを探し、そこから職場へと通っていた。
因みに一般事務も階級制度に入っていたらしい。
何てことだ。
しかも5級より下の雑用ポジション。
(階級は別にどうでもいいから巻き込まないでくれよ)
ナツは勝手に制度に入れてくるなとひっそり嘆いた。
そしてTrafalgar医院には、看護師長が1人と正看護師が2人居るらしい。
この3人も中々に危険人物なようだ。
偶に姿を見ることもあるのだが、ナツは目を合わせないようにとコソコソ逃げ回っていた。
(はぁ……胃がキリキリしてくるんだけど。誰か助けてくれー!)
ナツの階級は一番下。
当然色々とこき使われまくる毎日。
最初は新人だから仕方ないと思ってはいたものの、その考えはどうやら外れのようだ。
最早事務仕事どころかお姉さま方のパシり。
ナツのため息は止まらなかった。
私、サ○キどころかシンデ○ラみたい。
あ……。
止めよう。不吉な事を考えるのは。
ここで言う王子様って……ヤツじゃねーか。
巻き込まれるのはごめんだ。
只でさえため息の止まらない状況なのに、自分の妄想が更にそれに拍車をかけた。