Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第4章 思い
資料室を後にすると、院長室から出てきたエミリアとばったり遭遇してしまう。
ナツは目が合った途端、ひくりと顔が引きつるのを感じた。
彼女は先日の特別室で起きたあの一件を、知っているのだろうか。
もし知っているのであれば、エミリアは今後どう出るのか。
それを考えただけで嫌な汗が流れるのを感じた。
「あら、ローへ荷物を持っていくの?仕事前なのに大変ね」
ナツが身構えていると、意外にも彼女の口から飛び出て来たのは普通の会話。
終始笑顔の彼女は一体何を考えているのだろうか。
昨日の昼に自分を探して駆け回っていた看護師達は、捕まえて看護師長につき出すとか、そんなこと言っていたのに。
いや、待てよ。
この状況は使えるのではないだろうか。
「そ、そうなんです……でもちょっとお腹が痛くなってきてしまって……あいたたた…」
チラリと時計を確認すると残り時間は後3分。
ペンギンと話している間に、何時の間にか時間が経ってしまってたようだ。
今からトイレに行く時間はない。
これは緊急事態だ。
もちろん嘘だが。
「すいません…どうしてもお手洗いに行きたいので、代わりにこれ、お願いできませんでしょうか?」
鬼気迫る感を演出した迫真の演技。
お腹を押さえ上体を屈めて苦悶の表情を浮かべるナツは、受け取ってくれと祈りを込めて院長への書類を持つ手をエミリアの方へと伸ばす。
探るような目つきでそれを見つめるエミリア。
看護師長様々をパシるなんて、なんとも恐れ多すぎることだと自分でも思う。
でも何としても
明日まで彼と会わずに過ごしたい。
その使命を果たすためなら、なんだってやってやる。
私がお届け係に任命されたのがこの人達は内心面白くないみたいだし
つまりウィンウィン。
利害の一致だ。
さあ、
スカした顔してないでこの書類を
受け取ってくれ!!