Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第4章 思い
「んじゃまたな。」
私の存在を確認するなり電話を切ったペンギン。
ちょっと待っててとタブレットを手慣れた手つきで操作する彼は、こんなところで何をやってるんだろうか。
「お待たせ。こんなところで何してんの?」
「こっちのセリフだよ。何やってんの」
小遣い稼ぎ、とニヤリと笑うその様子に
つくづくこの病院にはまともな人間が少ないなと思った。
「ペンギンって仕事ないの?窓際族?」
「部長さんは現場の仕事なんてしないのよ。ナツは俺が真面目に働いてる格好いい姿、そんな見たいの?」
腰掛けていたダンボールから立ち上がったペンギンは、小脇にタブレットを抱えてポケットに手を突っ込んだまま
扉の前で立ち尽くしている私の近くまでやって来た。
少し屈んで顔を覗きこんでくる彼は、意外と結構背が高い。
こんなに至近距離でお互いに立った状態で話すのは、初めてかもしれないと思った。
別にと気のない返事を返すと
残念、とわざとらしくおどける彼はいつも通り
どこか人をおちょくるような雰囲気を纏っている。
ん?
ちょっと待てよ。
「ペンギン、院長と友達なんだよね?これ院長室に届けてくれない?」
「通知見たけど。それナツご指名なんでしょ?」
仕事してなさそうに見せかけて、業務連絡にはちゃんと目を通しているらしい。
くそ。
使えねぇ。
「ねーナツ、院長に何かした?」
「何もしてません。私はただ、毎日を一生懸命生きていただけです」
即答でそう返すと、何やら探るような目線を向けてくるペンギンに居心地の悪さを感じた。
代わりに持っていってくれないならペンギンに用はない。
これを早くあの暴君に届けなければ。
「ペンギンもちゃんと仕事に戻ってね。部下達が泣くよ」
「ナツ今週末暇?」
ここにも人の話を聞かないヤツが約一名。
生憎今週末にはこの近辺からはおさらばしている予定だ。
せっかくできたDTB仲間とも、対面しながら動物積み上げ合戦が出来なくなるのは少し寂しい気もする。
しかし
物事には優先順位というものがある。
ここを立ち去る事以上に優先すべきものなど
今のナツには存在しなかった。