Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第4章 思い
「ベポおはよー」
デジャブ。
丁度24時間くらい前に見た光景だ。
「おはよう。……大丈夫?」
眠そうな表情で挨拶を返すベポまでも、昨日と同じ。
昨日との違いと言えば、ナツの頭の中を占める最近のベストオブ大事件が
強盗と決死のバトル!勝った筈なのに目覚めれば入院中!
から
鬼畜院長の暴走劇!!
~おかげて決心がつきましたありがとう~
にすり替わったことぐらい。
「あぁ、うん。全然大丈夫」
昨日以上に、やつれているというか
目の下の隈やまだ朝だと言うのに力の抜けきったナツのその表情。
全然大丈夫そうには見えないのに、無理に笑顔を作って見せるナツの様子に、ベポの眉間にはシワが寄った。
今朝出勤してすぐに、ベポを呼び止めたこの病院の最高責任者。
仕事中に顔を合わせる機会なんて殆んどないその声の主に、何事だろうと白熊は眉を潜めた。
昨日総回診とばかりに受付前にやってきては
自分のお気に入りの受付仲間を連行していった友人。
彼は一枚の書類をベポに渡すと、その内容を目で追う白熊に一言だけ告げて、踵を返した。
「これからは俺宛の荷物は全て、ナツに持ってこさせろ」
公向けの丁寧な文面で綴られている書類の内容を
さらっと要約して去っていったロー。
今朝の事を思い出しつつ、最高責任者直々の指令により、受付に届け先が変更された書類の山を見て、ベポはため息を付いた。
只でさえ混雑する受付に、これを放置しておくのは邪魔すぎる。
いくら院長の指示とは言え、重要書類も混ざっているだろうこれらを、外部の人間も多く訪れるこの場に置いて大丈夫なのか。
そんなことは分かりきっている筈なのに、こんな無茶振りをしてきた院長。
タイミングからして、ナツをこうも疲れさせている犯人には一人しか検討がつかない。
「なに?この書類の山」
普段と違う受付の配置に、きょとんとした表情で首をかしげるナツ。
言いたくないことだってあるだろう。
なんとなく思い当たるナツの身に起こっただろう出来事は、年頃の女性であればそう簡単に口にできる事でもない気がする。
普段通りに振る舞おうとする彼女に居たたまれない思いを抱えながら、ベポはそっとため息を付いた。