Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第3章 訪問者
「考えるだけ時間の無駄だ。取り合えずお前、責任取れ」
「……は?」
なぜ身に覚えのない問題の責任なぞ取らなければならないのか。
ナツが冤罪の予感を感じて非難の目をローに向けると
鎖骨をなぞっていた手は肩を掴み
そのままベッドへとそれを縫い付けた。
もうこれは、何となくとか言うレベルではなく確定だろう。
ナツは自分の顔が惜しげもなく引きつっているのをひしひしと感じていた。
彼が今から何をしようとしているのか。
それが分からない程無垢な人間でもない。
朝のようにお礼としてそれに応えようと言うのではなく
ローは今、自分の意思でナツを抱こうとしている。
「ちょっ。早まるな!落ち着け」
半日前にも見たばかりのこの光景。
肩を押さえ付ける腕の力に、油断や慢心は微塵も感じられない。
ただじっと見下ろしてくる彼の目の奥に
先ほどまでは感じられなかった熱が、灯っているように感じられた。
嘘だろおまえ。
勝手に情緒不安定になった挙げ句早々に考えることを放棄しておいて
終いには責任を取れって……
私を巻き込むな。
というかその回答に辿り着く前に私に一度相談してくれよ。
一緒に考えてあげるから。
「えーっと、物事には沢山の解決方法があります。こういうのじゃない道もきっとあるはず!一緒に探しましょう。きっと道は切り開けるから」
ナツは冷や汗をかきながらも、取り敢えずこの体勢を何とかしようとローの肩を押してみる。
びくともしない自分の上を覆うこの体と、
相変わらずこちらの問いかけには応じるつもりのなさそうなこの様子。
彼は今朝へし折ったフラグがそんなに気に入らないのだろうか。
なら謝るから許してくれ。
いくらイケメンだろうと
背中に色々と厄介すぎるものを背負ったこの院長に、こちらの意思は総無視のこの状況で抱かれるというのはどうしても遠慮したい。
それだけじゃない。
今彼に抱かれたら、私の人生が物理的に終わる。
エミリアが何をしでかすか分かったもんじゃない。
いくら父を恨んでいるとは言え、人生終了レベルの仕返しまでは考えていなかった。
瞬間移動とか、火事場の馬鹿力で使えたりしないだろうか。
打つ手の無さすぎるこの状況。
有り得ない超常現象でも願う以外に、もう為す術などなかった。