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Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第3章 訪問者




「なんで皆して私が院長を好きな事にしたいんですか」


ナツはおしぼりで口元を拭きながらうんざりとした表情でそう答えた。 


「違うのか?この病院で働こうって女なんてみんなそうなのかと。」

「父に騙されただけです」


サラダを噴出した事には全く触れないシュライヤ。

敢えて触れないのか、それともこれも彼の気遣いなのか。
その件についてはありがたいのだが、ナツは自分が院長を好きだという設定がどこに由来するのかが全く検討が付かない。

被害者だろ、むしろ。


「へぇーそうなのか。あんた苦労してんだな」

「いや、そろそろ潮時かなと思いまして」


黄昏た目でそう話すナツを、彼は気の毒そうに見つめている。

ん?
もしかしてこの人に頼べばここから簡単に逃げ出せるんじゃないのか?

一瞬脳裏を過ったその考えを、ナツはすぐに打ち消した。

恩人さんを巻き込むわけにはいかない。


「辞めるのか?」


シュライヤのその言葉にナツは曖昧に笑って誤魔化すことしか出来なかった。

ここを去る事は決めたものの、心優しい彼に余計な心配をかけてはいけない。


「あんまり1人で抱え込むなよ?俺で何とかできることなら力になるから」


ナツの微妙な表情を、彼はどう捉えたのだろうか。

シュライヤの耳に優しい言葉に心惹かれる気持ちはあったものの、選択権を委ねて引いてくれた彼にナツはお礼を伝えて頭を下げる。

綺麗に空になった皿の乗ったトレーを持って立ち上がったシュライヤは、去り際にナツの頭を撫でると
仕事に戻ると部屋を後にした。

そんな彼の表情は、どこまでも優しかった。


(……お兄さんでもいたら、こんな感じなんだろうか)


心がじんわりと暖かくなる感覚に、少しだけ
視界が歪んで見えた気がした。


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