Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】
第2章 急展開
「ぃ…んちょっ……。あのっ……本当に待って!!」
待てと言うのに私の言葉になんて全く関心のない様子の院長。
首もとに顔を埋めている彼の髪からは、爽やかな良い香りがした。
いや、香りを嗅いでる場合じゃねぇマジで。
さっきから私の体を撫で回すこの腕に、力で挑んでは完敗し続けている。
このままだと本当にヤられる。
どうしようか。
私の抵抗は彼の暴挙を止める程の効力はないようだが、中々諦めの悪い悪あがきは鬱陶しいと思わせる事くらいは出来ているらしい。
「院長っ……あの、お願いがあります」
ナツの拒絶とは違った内容の言葉に、ローは体を起こしその続きを促すような瞳で彼女を見つめた。
その熱の籠った瞳に、ナツはゴクリと喉を鳴らす。
いかん。この色気に当てられてほだされたら負けだ。
誘うような手つきで院長の肩に触れ、そのまま然り気無く体を起こす。
抵抗の意志をなくした様子の私を、院長は好きにさせてくれてた。
整い過ぎている顔に気後れしつつも、そっとそれに自分の顔を寄せながら
思いっきり後方にその肩を押し飛ばした。
突然の反撃に、倒れはしないものの腕をついて体勢を崩した院長を横目に、孟ダッシュでベッドからを距離を取る。
……なんとか上手く逃げれた。
「お礼はこの病院にある食堂の、年間食べ放題パスポート券がいいです!」
じゃ、仕事に戻ります!
言い逃げ上等。
ナツは光の速さで病室を後にした。
「……はぁ?」
ベッドの上で、暫し唖然とするロー。
彼女は逃げたのか?しかもちゃっかり礼の品を要求して。
……年間パスポート券なんてある訳ねぇだろ。
彼女が出て行った扉へと自然と向いてしまう視線。
今まで自分の前から女が逃げるなんていう事を体験した事がない。
ナツは俺を拒絶して逃げたのか?
そして俺は、女に拒絶されて逃げられたのか?
初めての経験。
状況を理解するのには時間が必要だった。